デイトナRef.16520の特徴と変遷。製造年代ごとに仕様を徹底解説!

KING OF ROLEXと言えば、デイトナでしょう。ロレックス「コスモグラフデイトナ」は、世界で最も有名なクロノグラフと言っても過言ではなく、絶大な人気を誇っています。

デイトナの中にもヴィンテージから現行モデルまで70種類近くの型番があり、生産が終了しているヴィンテージモデルの人気が特に凄まじいことはお聞きしたことがあるのではないでしょうか。

その中で、今回は手巻きムーブメントから自動巻きムーブメントへと転換した歴史的なモデルである型番号16520(以下Ref.16520)は普段使いできるヴィンテージモデルとして改めて注目されているのです。

そしてRef.16520は製造年代によっても細かい仕様が異なってくるので、マニアを惹きつける奥深い世代と言えるでしょう。その詳細についてこれから解説していきます。

第4世代デイトナ(1988〜2000年)の特徴

ロレックスの中でも絶大な人気を誇るデイトナ。第4世代デイトナには、技術的にもデザイン的にも数々のイノベーションが見られます。最大の革新は自動巻き化でしょう。

1988年までの初期に生産されたモデルは手巻きムーブメントを採用していますが、1988〜2000年製の第4世代のものはゼニス社とタッグを組み自動巻きムーブメント「エルプリメロ」を搭載するようになったのです。

ちなみにモデル名は正式には「コスモグラフデイトナ」と言います。

7種類のダイヤルの変遷

Mk-1 段落ち(1988〜1989年頃)

12時位置にある表記部分の4行目と5行目の間に一段スペースがあり、「COSMOGRAPH」だけが下方に離れた位置にあります。その為「段落ちダイヤル」と呼ばれています。

Mk-2 4桁表記(1989〜1990年頃)

「OFFICIALLY CERTIFIED」の文言がなくなり、全部で4桁表記となっています。第4世代デイトナの文字盤での4桁表記は唯一の仕様です。

Mk-3 5桁表記とセリフプリント(1990年頃)

再び5桁表記に戻っています。ただ特徴的なのは、これまでがゴシック調のフォントであったのに比べ、この頃の個体のみ「ヒゲ付き」のれセリフプリントであることです。

Mk4「逆6」と呼ばれる4型ダイヤルの最終タイプ(1990〜1992年頃)

「ヒゲ付き」と呼ばれる装飾フォントが上段のROLEX部分のみとなり、その他の文言は再びシンプルなゴシック調に戻っています。そして6時側インダイヤルの6が9に見える「逆6」仕様の最終型です。

Mk5以降「正6」に改良(1992〜1994年頃)

ここから判読のしやすい「正6」インダイヤルに改良され、以降のダイヤルはこの仕様に統一されています。

Mk6トリチウム夜光の最終ダイヤル(1995〜1999年頃)

夜光塗料のトリチウム採用が最後となっています。よってトリチウム夜光の使用を示す「T」の印字も最終です。

Mk7 ルミノバ夜光の導入(1999〜2000年頃)

夜光塗料が自発光型のトリチウムから築光型のルミノバになったのが大きな変更点です。SWISS表記に「T」の文字が入らないので見分けやすいでしょう。

6種のベゼルの進化

Mk1「200タキ」(1988〜1989年)

先代の手巻きモデルと同じく50〜200のタキメータースケールを継承しており、その特徴から「200タキ」と呼ばれています。平均時速50kmから最高200kmまでが計測可能です。

Mk2「225タキ」(1989〜1990年)

2型からは平均時速60kmからた400kmが計測可能となり、レーシングマシンの高速化に対応しています。また2型ベゼルの特徴として、200と300の間に「225」と「250」が入る点です。その為通称「225タキ」と呼ばれています。

Mk3「400タキ」(1990〜1993年)

2型同様400kmまで計測可能なスケールを備えています。2型にはあった「225」と「250」がなくなり、代わりに「240」が打刻されています。このスケールは3型以降共通の仕様です。

Mk3と同時期の製造ながら、ディテールの異なるMk4(1990〜1994年)

4型ベゼルを見分けるポイントはタキメータースケールの数字で、他のベゼルに比べて0が細いのが特徴です。また3型と比較すると「UNITS PER」と「HOUR」の文字の位置関係が異なります。

Mk5の見極め方(1993〜1999年)

タキメータースケールの6と9の文字の丸い部分が小さいのが見分けるポイントです。

Mk6の最終ベゼル(1999〜2000年)

打刻された数字を見ると、1型から5型までは角の丸いフォントを使用しているが、6型はシャープなフォントに変更されているのが特徴です。

代表的な2種類のケース

初期にのみ存在する「かまぼこケース」

第4世代デイトナは、自動巻き化搭載に伴いシリーズ初の40mmケースを採用しています。

ケースサイドには一体型のリューズガードが備えられ、中でも最初期のステンレス製ケースにはラグの形状に微差が確認されています。

その形状から「かまぼこケース」として評価されているのです。

ノーマルケース

1990年頃から採用されたもので、ラグの形状がブラッシュアップされケース全体がスタイリッシュになっています。

ちなみにかまぼこケースもノーマルケースにもシリアルナンバーが打刻されており、整合性を確認する上で最も重要なパーツと言えるでしょう。

ブレスレットの進化の見分け方

78360/フラッシュフィット503

Ref.16520に装備された最初のブレスレットです。

が目立ちにくいサテン仕上げのリンクパーツと、シングルロックタイプのバックルを備えているのが特徴です。

また裏側にはフラッシュフィットナンバーとして503が打刻されています。

78390/フラッシュフィット503B

1994年頃より装備され始めたブレスレットです。

誤ってバックルが開くのを防止する為、ダブルロック式バックルが採用され実用性の向上が図られています。

センターリンクがポリッシュ仕上げされ高級感もアップしました。

フラッシュフィットナンバーは503Bに変更されています。

783909A/フラッシュフィット803B

1999〜2000年製の個体に装着される最終仕様です。

ケースとブレスレットを繋ぐフラッシュフィットがソリッドパーツに改良されたり、ブレスレットと一体型になっています。その為、より頑丈で耐久性の高いものとなりました。

まとめ

紹介したように、エルプリメロ搭載の「デイトナRef.16520」は短い製造期間ながら何度も仕様変更されています。

自動巻き化を実現したことによりオイスターケースが伝統の36mmから40mmに拡大、リューズガードも装着されました。

ベゼルは耐久性の問題から従来のプラスチックベゼルが廃止となり、金属製のみの展開となっています。

またベゼルに刻まれるタキメーターは第4世代初期こそ200まででしたが、すぐに400に改良されました。

ダイヤルの変更も一つずつ上げていくとキリがありませんし、時分針もマイナーチェンジをとげていることが明らかにされています。

中央に入っている黒いラインは初期のものは細いものでしたが、視認性の向上の為1990年頃より太くなっているのです。

こうして実用性にこだわり、細部にわたって常に改良が続けられているのです。

ところがロレックス社はこれら仕様変更に関して公式発表を一切していません。これらは全て世界的な研究の結果によるものなのです。

こうして世界中の愛好家たちは日々勉強を重ね、フルオリジナルと呼ばれるオリジナル性の高い運命の一本を探し求めています。

中でも状態のいいものは奪い合い必至でしょう。第4世代デイトナの相場は今後も右肩上がりで、これからもデイトナから目が離せません。