革ベルトを付け替えるだけで時計の印象は変わる!おすすめの革ベルトを紹介

近年貴金属にアリゲーターのストラップを合わせた従来のドレスウォッチよりも、オールステンレススティールあるいはチタン、セラミック製のスポーツウォッチが需要を伸ばしているのは、ファッションの流行や気候の変動などの要因があるでしょう。

しかし、腕時計の基本はやはりレザーストラップである、ということをここであらためて強調しておきたいと思います。

腕時計の誕生の歴史をひも解いてみると、目を引くアイコニックなピースのほとんどが革ベルトのタイプであることに気づかされるはずです。

そこで今回はおすすめのレザーストラップを紹介します。

腕時計のアイコニックピース≒革ベルト

一般的に腕時計が普及し始めたのは20世紀に入ってから。

それ以前にもジャケ・ドローやブレゲ、ジラール・ペルゴーが腕時計を製造した記録は残っていますが、あくまで王侯貴族の貴婦人が身に着ける装身具や、軍隊に支給されたミリタリーウォッチとしてであって、人口に膾炙するには至りませんでした。

腕時計が民間向けに生産されるようになったのは、1900年のオメガが初だと言われています。

1906年にはカルティエがサントスを、1913年にはセイコーが初の国産腕時計ローレルを、1932年にはパテック・フィリップが今日でもなおドレスウォッチの完成形のひとつと言われているref.96を発表しました。

これらの腕時計はいずれも革ベルトを備えていました。このことは腕時計の歴史とレザーストラップが切っても切り離せない関係にあることを如実に物語っています。

高温多湿な日本で暮らしていると、腕時計といえばステンレス製のブレスレットが当たり前のように思われてしまうかも知れませんが、スイスの高級時計ブランドが金属製のブレスレットに力を入れるようになったのは、実は比較的近年のこと。

もちろんそれ以前にもデイトジャストやスピードマスター、ロイヤルオークなどの有名モデルもあるにはありましたが、今日求められている装着感に達しているとは言い難いものがあります。

タンクしかりカラトラバしかりレベルソしかりランゲIしかりブレゲのクラシックしかり、腕時計のアイコニックピースは、そのほとんどが革ベルトのタイプであると言い切っても差支えないと思われます。

一概に革ベルトが金属ベルトより優れているというわけではありません。

革ベルトと金属ベルトのどちらがいいかは用途や場面にもよります。

一般的には秋冬向けにレザーストラップのドレスウォッチ、春夏向けに金属ブレスレットのスポーツウォッチの最低2本を所有するのが理想でしょう。

しかし夏でもビジネスのプレゼンやフォーマルなシーンに対応した腕時計が求められるシーンはありますし、ダウンジャケットを着こむ冬こそスポーティーなスタイルがふわさしいとも言えます。

だからといっても、場面ごとに単価の高い腕時計を何本も買いそろえるわけにはいきませんよね。

そこで提案したいのが、腕時計ではなくベルトを変えるという選択肢です。

一本の腕時計で何度でも美味しい革ベルト

腕時計は時計本体を変えなくても、ベルトを付け替えるだけで印象が大きく変わります。

白文字盤に金属ベルトを合わせたグランドセイコーあるいはセイコーファイブのオーソドックスな時計も、ブラックのクロコやアリゲーターのストラップに付け替えるだけで、一気にシックで大人びた雰囲気のドレスウォッチにさま変わりします。

反対に、ブラウン系の肉厚なオイルドレザーでしたら、休日や旅先のラフなコーデにぴったりなカジュアルな装いに。

汎用性の高いネイビーだったらビジネスにもリゾートにも合わせやすいし、ベージュでしたら彼女や奥様とシェアすることできそうです。

ここ数年はアースカラーが流行で、グリーンやオリーブ色の文字盤の新作腕時計も数多く見かけるようになりました。

モーザー&CIEなど、発色のよさに自信と定評のあるハイエンドブランドは、こぞって特徴のある新色文字盤を打ち出すようになっています。

しかし「いいな」って思っても、服装や場面もかなり制限されるわけですから、長く使う腕時計だとどうしても無難なカラーを選びがちになってしまうのは否めません。

そんな時こそ革ベルトの出番なわけです。

流行のグリーンでも、赤でも紫でも黄色でも、「個人的に好きなだけど時計で選ぶのはちょっと……」という色があったら、まずは革ベルトで挑戦してみましょう。

お手持ちの時計の印象も大きく変わるし、気分も上がるし、「差し色としてだったら案外イケるかも!?」なんて発見があるかも知れません。

色だけではありません。同じブラックでもアリゲーター、リザード、オーストリッチなどなど、皮の種類によってその表情は大きく異なります。

例えば愛用のサブマリーナのストラップをガルーシャ(エイ革)にチェンジしてみましょう。

ともすれば人と被りまくりのロレックスの定番も、一気にカスタム度の高いレアウォッチっぽくなるはずです。

また、たとえ同じ革であっても、使い込めば使い込むほどエイジングによって、その人だけのオリジナルな相棒になっていきます。

ビジネスでは純正の金属ブレスで、パーティーには黒のクロコで、オフの日はブラウンのカーフで、気分転換したい時には思い切った色使いやエキゾチックレザーで……といった具合に、一本の腕時計でさまざまな使い分けができるのも革ベルトの魅力なのです。

おすすめ革ベルトのブランド

では実際に時計のベルトを付け替えるにはどうしたらいいのでしょうか。

またどのような時計ベルトのブランドを選べばよいのでしょうか。

ジャン・ルソー、ジャン=クロード・ペラン、モレラート……、世界にはさまざまな一流メーカーが存在しますが、ここではその中からお勧めブランドをふたつ紹介しながらご案内したいと思います。

バンビ

ひとつは1930年に日本で創業した名門レザーブランドのバンビです。クラシカルなアリゲーターから、松坂牛などブランド牛を使用した日本のメーカーならではのラインナップも。

このうち、日本の猛暑を乗り切るにふさわしいのは、スコッチガードでしょう。

強力な撥水加工が施されたカーフレザーで、価格は3,630円から。リーズナブルでお求めやすい価格ながら、オーソドックスで上品なデザインなので、決して安っぽくは見えません。

ハイエンドな高級時計にも十分に合わせられます。

革ベルトを付け替えるには専用の工具が必要です。しかしアマゾンなどで1,000円未満で購入可能ですし、手順についても詳しく解説した動画やサイトがたくさんあるので、難しくはないでしょう。

慣れれば1分もあれば作業は終わります。

カミーユ・フォルネ

それでも付け替え作業に自信がない場合はお店に持ち込むか、工具いらずでワンタッチで付け替え可能なカミーユ・フォルネをお勧めします。

カミーユ・フォルネは1945年にフランスで創業した名門ブランド。パテック・フィリップやブランパンなど、ハイエンドな時計ブランドの純正ストラップを製造しているのもここカミーユ・フォルネです。

とりわけ革の符模様が美しく、「革の宝石」と称されるのも大いに納得させられます。

カミーユ・フォルネはバッグや財布にも定評があり、エルメスやヴァレクストラなど並んで女性の憧れブランドの一角を占めています。

しかし時計ベルトの価格は意外にも手ごろで、14,300円から購入可能となっています。

カミーユ・フォルネをお勧めしたい理由は、優れた革質とブランドのステータスだけではありません。

カミーユ・フォルネ独自採用の「アビエ」システムによって、工具いらずでワンタッチで時計ベルトを交換できるからなのです。

お出かけ前の忙しい時間でも、その日の気分やシチュエーションに応じて簡単に時計ベルトが交換可能なのです。

また革ベルトの裏地をラバーコーティング加工しているため(注:加工していない商品もあります)、汗がストラップにしみ込むのを防ぎ、衛生面でも耐久性にも優れていると言えるでしょう。

バンビのスコッチガードよりは高額になりますがですが、革質や美しさ、ブランド、アビエによるワンタッチの付け替え作業、耐久性などを考慮すれば、非常にコストパフォーマンスの高い商品なのではないでしょうか。

ただし裏地のラバー加工のため、レザーストラップならではのしなやかな装着感には欠けますが……。

いずれの時計ベルトを選ぶにせよ、注意しなければならないのは、腕時計のラグ幅とバックル幅に合っていないと、せっかく購入した革ベルトに着せ替えができなくなることです。

購入前にお手もとの腕時計のサイズをきちんと計測してからオーダーしましょう。

たいていの腕時計は規格が決まっているため既製品で間に合うはずです。

まとめ:気軽にベルトを交換して腕時計を楽しもう!

お手持ちの腕時計を革ベルトに交換するだけで、簡単に高見え効果やイメチェンが可能です。

シーンによって革の素材や色を替えるだけで気分転換もできるし、何本かスペアを持てば、それだけ一本一本の耐久性も高まるでしょう。

レザーアイテムは汗や水に弱いため、とりわけ高温多湿な日本の夏には適さないと言われてきました。

しかし近年は撥水加工やラバーコーティングなどの技術によって、夏でも快適かつ清潔に革ベルトを楽しむことも可能です。

早速あなたもお気に入りの腕時計のストラップを交換してみましょう。