腕時計の電池交換をしたいと考えている方は、下記のような疑問がある方も多いのではないでしょうか。
- 電池交換の方法や流れを知りたい
- 電池交換する際の注意点が気になる
- 電池交換できる場所や費用を教えて欲しい
腕時計を電池交換するには、腕時計の種類ごとの工具や電池を用意し、自分でできるタイプとできないタイプを見極める必要があります。
この記事では、電池交換の方法や必要な工具、電池交換する際の注意点、電池交換できる場所や費用について解説します。
腕時計の電池交換前に裏蓋の種類を確認する
まずは、腕時計の電池交換を行う前に、裏蓋の種類を確認しましょう。
主な腕時計の裏蓋の種類は、以下の3つです。
- こじ開けタイプ
- ネジタイプ
- スクリュータイプ
裏蓋ごとに必要な工具は違うので、それぞれの特徴を理解してから電池交換しましょう。
こじ開けタイプ
こじ開けタイプは、腕時計の裏蓋のなかでも最も一般的なタイプです。
裏蓋に隙間があり、隙間に工具を差し込みながら、少しずつ力を入れてフタを開ける仕組みです。
また、閉める際は、どこの位置でも閉めて良いわけではありません。裏蓋には、リュウズを避けるくぼみがあるので、くぼみの場所を確認しながらフタを戻す必要があります。
両手の人差し指と中指でケースの淵を持ちながら、親指に力を入れて押し込みます。
ガラスを持ってしまうと、ガラスに負荷がかかり割れる可能性があるので、ケースの淵を支えることを意識しましょう。
ネジタイプ
ネジタイプは、裏蓋の四隅が4つのネジで固定されているタイプです。中には、6つや8つのネジが使用されている腕時計もあります。
主にG-SHOCKなどのデジタル時計に採用されていることが多く、ドライバーさえあれば簡単に開けることが可能なので、3種類の裏蓋の中でも最も簡単なタイプと言えます。
1本ずつネジを外すのではなく、対角線上に沿って全体的に回すことが、ネジを外す際のポイントです。閉める際も対角を意識すると、しっかりと閉められます。
注意点として、ネジがサビていると固くて回らないときがあります。ネジ専用の潤滑剤を使用してもダメなら、時計店かメーカーに依頼することをおすすめします。
スクリュータイプ
スクリュータイプは、裏蓋にくぼみがあり、専用の工具をはめ込んで開けるタイプです。
比較的防水性の強い腕時計に使用されることが多く、非常に固く閉められているので、3つの中で最も難しいタイプと言えます。
スクリュータイプを開けるのに必要な、専用のオープナーと、腕時計を固定する専用のホルダーが必要です。
オープナーがしっかりくぼみに入っていないと、滑って傷がついたり、手を怪我する可能性があるので慎重に行いましょう。
腕時計に使用する電池の種類は?
腕時計に使用する電池の種類は、以下の3つです。
- SR(酸化銀電池)
- CR(リチウム電池)
- LR(アルカリ電池)
腕時計ごとに合った種類でないと、時間が正常に動きません。
電池の種類や特徴を理解して、正しい電池を選びましょう。
SR(酸化銀電池)
SR(酸化銀電池)は、安定した電圧を維持できるボタン電池です。
アナログ時計の大半は、SRのボタン電池が使用されています。
電池残量がなくなる直前まで、一定の電池を維持できるので、腕時計だけでなく、医療器具などの精密機器に使用されることが多いです。
CR(リチウム電池)
CR(リチウム電池)は、SRやLRと比べて約2倍の電圧を持ち、自己放電も少ないため、長期間の使用に適しているボタン電池です。
主に、デジタル時計に使用されます。
G-SHOCKに使用されていることから、衝撃などに強く、耐久性に優れた電池だと言えます。
LR(アルカリ電池)
LR(アルカリ電池)は、SRやCRと比べて寿命は短いですが、安い値段で購入できるボタン電池です。
雑貨などの安価な腕時計に使用されることが多いです。
また、LRが入っている腕時計には、SRを入れて使用できます。LRがお店にない場合は、少し高価ですがSRを購入して交換すると良いでしょう。
ボタン電池のSWとWの違いは?
ボタン電池には、SWとWで種類が分かれています。
違いは以下のとおりです。
- SW:アナログ用のボタン電池
- W:デジタル用のボタン電池
SWは、比較的負荷の小さいアナログ時計に適しています。
一方でWは、ライトやアラーム機能が搭載されている多機能のデジタル時計に向いています。
Wの腕時計にSWの電池を入れてしまうと、正常に動作しない可能性があるので注意しましょう。
腕時計の電池交換方法は?
腕時計の電池交換方法は、以下の6つのステップです。
- 必要な工具を用意する
- 腕時計の裏蓋を開ける
- 電池を取り外す
- 新しい電池に入れ替える
- パッキンにグリス(潤滑剤)をつける
- 腕時計の裏蓋を閉める
今回は、裏蓋の中でも一般的なこじ開け式を例に電池交換の流れを解説します。
必要な工具を用意する
まずは、電池交換に必要な工具を用意します。こじ開け式の電池交換には、以下の工具が必要です。
- こじ開け工具
- プラハンマー
- ピンセット
- セーム革などの布(ハンカチなどで代用可能)
こじ開け工具は、こじ開け式の裏蓋を開ける際に必要な工具です。
プラハンマーは、こじ開け工具を使用しても固くて開けられない際に使用する、小型のハンマーです。プラハンマーは、こじ開け工具のみで裏蓋が開けられるのであれば必要ありません。
ピンセットは、電池を取る際や入れる際に使います。先が尖っているピンセットほど作業がスムーズに行えます。
セーム革は、裏蓋を開ける際に腕時計を固定するために使用します。セーム革とは、油を染み込ませた専用の布であり、腕時計を包んで持つことで、滑りづらくする効果があります。
もしお持ちでなければ、ハンカチやタオルなどでも代用できますが、滑りやすいのでしっかりと腕を固定させながら作業しましょう。
(2024/12/05 11:01:25時点 楽天市場調べ-詳細)
腕時計の裏蓋を開ける
腕時計の電池交換に必要な工具を揃えたら、裏蓋を開けましょう。
こじ開け式の裏蓋には小さな隙間があるので、こじ開け工具を差し込み、テコの原理で持ち上げます。
裏蓋が固く開かない場合は、プラハンマーを使いましょう。
こじ開け工具を裏蓋の隙間に挿したままにし、工具の反対部分をプラハンマーで叩いて開けます。
注意点として、強く叩き過ぎると針が緩んだり、文字版のインデックスなどが取れたりする場合があるので、なるべく軽い力で叩く回数も最小限にしてください。
また、こじ開け工具を挿入する隙間に、セロハンテープなどのテープを貼り付けてから作業を行うと、傷を最小限に抑えられます。
電池を取り外す
裏蓋が開けられたら、電池を取り外します。
電池の側面をピンセットで引っ掛けるようにして、電池を持ち上げましょう。
時計によっては、中枠(白や緑のカバー)が機械に被っていて、電池が取れないケースがあります。
中枠がある場合は、片方の手で綿棒や爪楊枝を持ち、機械を押さえながら中枠を外しましょう。
注意点として、電池以外の部品にはピンセットが当たらないようにしてください。特にコイルが傷つくと、故障するリスクが高まります。
新しい電池に入れ替える
電池を外したら、新しい電池を入れます。
新しい電池を掴む際は、必ずピンセットで電池の側面を持つようにしてください。
上下のプラス端子とマイナス端子を掴むと、電圧が下がり電池残量が低下します。
さらに素手で掴むと、皮脂やゴミがつき、同じく電圧が低下する場合があります。
また、力任せに電池を入れると、電池を押さえている部品が破損するかもしれないので、構造をしっかりと理解してから交換しましょう。
パッキンにグリス(潤滑剤)をつける
電池を入れ終えたら、パッキンにグリス(潤滑剤)をつけます。
グリスをつけることで、裏蓋から水やゴミなどの侵入を防げるので、腕時計の寿命を延ばせます。
パッキンはゴム素材であることが多いため、伸びたり切れたりしないように、ピンセットで裏蓋についているパッキンを優しく取り外しましょう。
スポンジの上にグリスを塗布し、上にパッキンを乗せて馴染ませてください。
グリスがつけられたら、元の位置にパッキンを戻します。
ゴムのパッキンがプラスチックのように硬い、あるいは変形している場合は、パッキンの交換時期なので、時計店で見てもらいましょう。
腕時計の裏蓋を閉める
一連の工程が終了したら、あとは裏蓋を閉めるだけです。
こじ開け式の裏蓋には、フタを閉めてもリュウズに当たらないように、くぼみがある腕時計も多いです。
くぼみの位置がズレたまま裏蓋を閉めると、竜頭が折れる可能性があります。
正しい位置に合わせられたら、両手の人差し指と中指で表のケースの淵を持ち、両手の親指に力を入れて押し込みます。
裏蓋が閉まれば、竜頭を上げて時間を合わせて電池交換は終了です。
注意点として、腕時計によっては専用の工具を使わないと閉まらないほど固い裏蓋があります。
指で押し込んでも閉まらない場合は、力を入れすぎるとガラスが割れたり、ケースが変形したりする可能性があるので、壊す前に時計店に依頼するのが賢明です。
腕時計の電池交換を自分でやる際の注意点
腕時計の電池交換を自分でやる際の注意点は、以下のとおりです。
- 自分では電池交換できないタイプを把握する
- 腕時計の種類に合った電池を用意する
自分で無理に電池交換を行うと故障の原因になり、分解掃除などの修理費用がかかるかもしれません。
余計な出費を防ぐためにも、注意点を理解しておきましょう。
自分では電池交換できないタイプを把握する
自分ではできないタイプの腕時計は、以下のとおりです。
- ソーラー時計
- 機械式時計
- ダイバーズウォッチやG-SHOCK
- パーペチュアルカレンダー
ソーラー時計は、ソーラー用の二次電池が入っており、一般的なSRやWの電池は入れられません。そもそも電池を外せる構造になっていないことがあるため、構わないのが賢明です。
機械式時計は、ゼンマイを動力に針を動かしているので、電池は使用されていません。
ダイバーズウォッチやG-SHOCKは、高い防水性を備えているので、自分で電池交換すると防水性が低下してしまう可能性があります。
電池交換後に水が入ったり、ガラスが曇ったりすることがあるので、ダイバーズウォッチやG-SHOCKはメーカーに依頼することをおすすめします。
パーペチュアルカレンダーとは、うるう年まで計算してくれる日付の調整が不要な時計です。パーペチュアルカレンダーの時計は、電池交換後に特殊な設定を行う必要があります。設定方法は複雑で、専門知識がないとできないため、時計店かメーカーに依頼しましょう。
腕時計の種類に合った電池を用意する
腕時計の種類に合った電池を用意しないと、故障につながります。
たとえば、Wの電池が使用されているのに、SWの電池を使用すると正常に動作しなくなるなどです。
また、多いのが電池のサイズを間違えて入れてしまうことです。たとえば、SR521SW用の腕時計に、大きいサイズのSR626SWの電池を入れてしまうと、裏蓋を閉めた際に文字板が押し出されて、文字板や機械が変形する可能性があります。
電池交換する際は、必ず元々入っていた電池と同じ電池を使用しましょう。
腕時計の電池交換ができる場所は?かかる費用も解説
腕時計の電池交換ができる場所は、以下のとおりです。
- ホームセンター
- 大型家電量販店
- ショッピングモールの時計売り場
- 百貨店の時計売り場
- 露店の時計専門店
- 各時計メーカー
- その他の電池交換できる場所
時計店やメーカーだけでなく、電池交換を依頼できる場所は多いです。
以下の項目では、場所ごとの費用についても解説します。
ホームセンター
カインズやビバホーム、コメリなどの全国展開されているホームセンターで、電池交換や修理できる場所があります。
カインズは、費用が880円(税込)からと比較的安い価格です。お店が混んでいなければ、10-20分程度で電池交換が完了することが多いです。
ただし、電池交換できる腕時計が限られていることや、専門の技師が不在の場合は、お預かりのため日数がかかる場合があります。
アナログかデジタル、国内製か海外製でも料金が変動するので、実際に見てもらい見積もりを出しましょう。
大型家電量販店
ヨドバシカメラやビックカメラ、ヤマダ電機(腕時計取り扱い店舗のみ)などの、大型家電量販店でも電池交換は可能です。
時計の種類にもよりますが、ヨドバシカメラなら1,020円(税込)から、ビックカメラなら1,030円(税込)から、ヤマダ電機なら2,000円からと受付可能です。
混み具合にもよりますが、10分〜1時間程度で電池交換してもらえるので、電化製品を見ている間に終わります。
ただし、高級ブランドや海外メーカー、特殊電池などのモデルは、お預かりして1ヶ月程度かかる場合もあります。
ショッピングモールの時計店
イオンやららぽーとなどの、大型ショッピングモールのテナントとして入っている時計店でも電池交換できます。たとえば、ザ・クロックハウスやTiCTAC、タイムステーションNEOなどです。
値段は店舗によって様々ですが、1,000円程度からと比較的安価なお店も多いです。国産ブランドと海外ブランド、高級ブランドで価格分けされていることが多いです。
大型ショッピングモールだけあり、日々たくさんの電池交換を受けているため、スキルが高くスピーディに交換してくれます。10分間~1時間程度で完了することが多いです。
ただし、修理専門のスタッフが常駐していない場合もあり、数日お預かりするかメーカーお預かりの電池交換になる可能性もあります。
百貨店の時計売り場
三越や大丸などの百貨店の時計売り場でも、電池交換は可能です。
ホームセンターやショッピングモールよりも交換代(百貨店によるが1,500円から)は高いですが、安心して任せられる場所と言えます。
専門の技師が常駐している百貨店もあるので、高級時計や特殊構造の腕時計をお持ちの方は、見てもらうといいかもしれません。
露店の時計専門店
商店街などにある露店の時計専門店でも、電池交換を依頼できます。
長い時間、個人経営しているお店はスキルや経験値も高く、熟練の技術で丁寧に交換してくれます。
また、百貨店などと比べると比較的価格が安く、親しみやすいスタッフがいるのも魅力です。
ただし、お店によっては経験の浅いスタッフがいたり、専門の技師が常駐していなかったりする場合もあるので、事前に確認しましょう。
正規時計メーカー
1番安心して任せられるのが、時計メーカーでの電池交換です。
電池交換だけでなく、機械の動作確認や防水性のチェック、その他部品の状態も丁寧に点検してくれます。
セイコーであれば2,750円(税込)から、シチズンとカシオであれば3,300円(税込)からの電池交換代です。
海外メーカーであれば、数万円からと高額になる傾向があり、仕上がるまでに最低1ヵ月程度はかかります。
メーカー電池交換は、費用や時間に余裕があり、腕時計を長く使いたい方におすすめの方法です。
その他の交換できる場所
その他の交換できる場所は、以下のとおりです。
- 眼鏡店
- 宝飾店
- 靴修理店
- オンラインサービス
近場に時計店やホームセンターがない場合は、利用するのもありです。
なお、靴修理店で有名な「ミスターミニット」では、1,650円(税込)から最短10分で電池交換してくれます。
また、オンラインサービスでは、「でんちこ」が業界最安値の550円(税込)から電池交換を依頼できます。
費用を抑えたい方や、Web上で手続きを終わらせたい方は、オンラインサービスを利用してみると良いでしょう。
腕時計の電池交換をしたのに遅れてくる原因は?
腕時計の電池交換をしたのに遅れてくる原因は、以下のとおりです。
- 腕時計に磁気が帯びている
- 腕時計が古く修理が必要な状態である
電池交換したのに遅れたり止まったりする症状は、電池が原因ではありません。
原因を理解して対処しましょう。
腕時計に磁気が帯びている
腕時計に磁気が帯びている場合は、時間が遅れたり止まったりします。
磁気を発している製品は、以下のとおりです。
- スマートフォン
- パソコン
- 家電製品
- 医療機器
- テレビやラジオ
- テレビのリモコン
- 眼鏡ケース
- 磁気ブレスレット、磁気ネックレスなど
上記のように、磁気を発している製品は、身の回りにたくさんあります。
磁気を帯びると時間が遅れるだけでなく、故障の原因に繋がります。心当たりがある場合は、保管場所や使い方を見直しましょう。
腕時計が古く修理が必要な状態である
腕時計が古い場合は、機械の油や部品が劣化しているため、修理が必要な可能性が高いです。
内部の潤滑油が劣化することで、部品同士の摩擦や摩耗が大きくなり、時間が正常に動きません。
また、油切れによって摩耗した部品は、鉄粉を撒き散らし、他の部品にも悪影響を及ぼします。
年数の経過した腕時計を電池交換しても、遅れたり止まったりする場合は、油切れの可能性があるので、オーバーホールなどのメンテナンスが必要です。
電池交換しても時計の調子が悪いようであれば、下記の記事を参考にオーバーホールを検討してみてください。
まとめ:大切な腕時計を長く使うためにも電池交換はプロに任せよう
自分で腕時計を交換すると、工具や電池などの初期費用がかかりますが、時計店に行く手間が省けて、長期的に考えると費用を抑えられるかもしれません。
ただし、傷がついたり、部品を故障させたりするリスクがあるため、慎重に行う必要があります。
大切な腕時計を長い間使用したいと考えているのであれば、技術や経験が豊富なプロの時計店での電池交換がおすすめです。
高級時計か、安価で購入した時計かでも違うので、自身の状況に合った電池交換を選択しましょう。