日本製のエレガントウォッチであるクレドール。時計ブランドとしての歴史は比較的新しいですが、さまざまなモデルが発表されています。
この記事ではクレドールの歴史を振り返り、代表モデルを紹介します。
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クレドールとは
セイコーの腕時計の中で、貴金属を素材とした「特選腕時計」がクレドールの発祥にです。1974年に高級ウォッチブランドとして独立しました。
フランス語で「黄金の頂」を意味するクレドールは、繊細で華やかなデザインの高級ドレスウオッチを多数生み出しており、エグゼクティブ層に人気のブランドです。
クレドールの歴史
1974年
1974年にクレドールが高級・宝飾時計ブランドとして誕生したのち、ロゴが制定されたのは1980年でした。
上に3本伸びる形が特徴的なクレドールのロゴは「クレストマーク」と呼ばれ、漢字の”山”がイメージの元となっています。
1980年代
ジュエリーウオッチが流行した1980年代、クレドールは1982年に「HSR050」を発表しました。総数507石、計28.50カラットのダイヤモンドがあしらわれたその時計は、当時のレートで約2億2千万円という破格の価格は、「100万ドルの宝飾時計」として話題になりました。
その後も、バブル景気を背景に多くのジュエリーウォッチを次々とリリースしていくことで、ブランドの地位を高めていきました。
1990年代
1990年代に入ると、クレドールは時計の心臓部といえる機構開発に注力していき、時計好きからの注目を集めるようになります。
1993年、当時のクレドールの技術を結集した極薄メカニカルムーブメント(キャリバー6870)搭載モデルを発表しました。
続いて、1996年に発表された極薄機械式ムーブメントのキャリバー6899は、風にしなる竹をイメージしたデザイン性の高いものでした。スケルトンモデルに搭載された優美な姿は当時大変な話題になりました。
1998年には、日本刀のシルエットに着想を得たジュエリーウォッチ「刀」を発表し、各方面からそのオリジナリティが絶賛され、非常に高い評価を得ました。
そして、1999年にはセイコーの代名詞、スプリングドライブ機能を搭載したモデルを発表します。スプリングドライブの登場により高い精度を維持できる機械式腕時計が誕生しました。
2000年代
2000年になると、クレドールはマイクロアーティスト工房と呼ばれる時計職人の工房を設立します。少数精鋭の職人軍団は、伝説の時計職人であるフィリップ・デュフォー氏にアドバイスを受けながら、超絶技巧を突き詰めていきました。
そして、設立からたったの6年後に「クレドール スプリングドライブ ソヌリ」と名付けられた初のコンプリケーションウォッチを発表し、その技術力が世界中で大きな話題を呼びました。
その後もミニッツリピーターなどの複雑機構と豪華な彫金技術が融合されたモデルを多数リリースし、日本国内だけでなく海外の時計愛好家にもクレドールの時計は高い評価を得ています。
クレドールの歴代モデル
1980年代には、デザインシリーズとして、リネアクルバ・シリーズ、オルディネール・シリーズ、エントラータ・シリーズがリリースされました。
当時、貴金属を用いたウオッチは一品一様であることが常識であった時代において、ステンレスや18金などの異なる素材で同デザインのモデルを展開していくこのデザインシリーズは、クレドールにとって初の試みでした。
リネアクルバ・シリーズ
リネアクルバは、1985年に発売されたデザインシリーズの第1弾です。このモデルは、「12時側のかん」「ケース」「6時側のかん」が、それぞれ「未来・現在・過去」を表しています。
オルディネール・シリーズ
1986年にはオルディネール・シリーズが発表されました。使いやすく、いつの時代も価値ある普遍性を追求したデザインは、周年モデルなども発表される人気シリーズです。
エントラータ・シリーズ
1987年に発表されたエントラータ・シリーズは中世の西洋文化に日本人の繊細な感性をとり入れた特徴的なデザインで注目を集めました。
現在の代表的なモデル
マスターピースコレクション
2006年に発表された「クレドール スプリングドライブ ソヌリ」をきっかけに、その後もさまざまな複雑機構を搭載したモデルを発表し、複雑時計を作るブランドとして認知される様になりました。
現在ではマスターピースコレクションと称し、「スプリングドライブ ソヌリ」の他にも複雑機構のモデルがラインナップされています。
マスターピースコレクションを代表するモデルは、ミニッツリピーターを搭載した「GBLS998」です。
ソヌリは時を知らせる教会の鐘のように、毎正時など決まった時刻になると自動的に音で時刻を知らせてくれる機構ですが、ミニッツリピーターは時刻を知りたいときに機構を作動させると、音で時刻を教えてくれる機能です。
「GBLS998」は、涼やかで澄んだ音色を実現するため、ゴングには、鍛冶師で明珍家第52代目当主、明珍宗理(みょうちんむねみち)氏が明珍家に代々伝わる技法で鍛造し、このモデルのために特別に作り込んだ鉄材を使用するなど、こだわり抜かれたモデルになっています。
また、複雑時計機構の代名詞であるトゥールビヨンを搭載するモデル「GBCC999(FUGAKU)」は、緻密な彫金装飾と漆を組み合わせた美しい文字盤に、厚さ4㎜を切るトゥールビヨンムーブメント「キャリバー6830」を搭載した唯一無二のモデルになっています。
アートピースコレクション
創立よりドレスウオッチを得意とするクレドールは、彫金、漆芸、七宝など、世界に誇れる卓越した日本の職人の手仕事を腕時計の中に落とし込むことに成功しました。
優れた伝統技術と精密性で実現した、まさに芸術ともいえるコレクションがアートピースコレクションです。
2005年には京繍モデル、2007年にはビーズ刺繍モデルなど、日本の伝統工芸を腕時計のデザインに取り入れていたクレドールですが、2012年には高度な象嵌技法「ピクウェ」を採用したモデルを発表し、アートピースコレクションの幕が開けます。
その後も、2015年には高度な彫金技法を駆使し、美しく緻密な透かし彫り装飾を施した「メカニカル彫金限定モデル」や「ガラス工芸モデル」を発表するなど、文字盤にこだわったモデルを多数リリースしました。
「GBBY983」は2002年に現代の名工、2007年に黄綬褒章を受章した彫金師の照井清が蝶のモチーフをムービングエングレービングという技術で施したとても美しいモデルです。4時位置のリューズを回転させることで、彫金を施した6匹のイエローゴールド製の蝶が回転盤の上で優雅に羽ばたくというギミックも面白い腕時計です。
また、「GBAQ961」はエナメル(七宝焼き)をダイヤルに採用したスマートで気品のあるドレスウオッチです。エナメルのダイヤルは1880年に七宝焼の専門店として名古屋市にて創業し、その後1900年には宮内庁御用達となった老舗七宝製品メーカーである安藤七宝店の協力を得て作成されました。
叡智シリーズ
複雑機構などを多数開発してきたマイクロアーティスト工房が技術を結晶して作り上げたモデルがこの「叡智シリーズ」です。
「シンプルウォッチの頂点へ」をキーワードに、精緻に磨き上げられたムーブメント、独自の磨き上げによる特別なケースや、深みのあるセラミック文字盤はまさに「叡智の結晶」といえるシリーズです。
叡智シリーズの始まりは2008年「トルクリターンシステム」を採用し、職人の手により各部品を磨き上げた新ムーブメント(キャリバー7R08)を搭載したNODE 叡智が初代です。
しかし、叡智に文字盤を供給していたメーカーの製造中止に伴い、初代叡智はたったの5年で廃盤になってしまいました。
開発陣の熱い気持ちや根強いファンの要望もあり、その後、2014年“究極のシンプル”を追求し、日本人の感性に訴える繊細な美しさの融合を突き詰めた「叡智II」を発表しました。
「叡智II」シリーズの中でも「GBLT997」は、セイコー創業140周年記念の特別なモデルです。深い色合いの瑠璃青磁器ダイヤルモデルが140 周年の歴史の深さを体現しています。
もちろん、製作はマイクロアーティスト工房で行われており、日本製の高級ドレスウオッチの決定版と言えます。
「叡智II」はその他にもプラチナケース、白ダイヤルの「GBLT999」やピンクゴールドケース、白ダイヤルの「GBLT998」などがラインナップされています。
まとめ
日本のドレスウォッチの代名詞であるクレドールの歴史と進化のあゆみを振り返ってみました。
職人の匠の技と、機械式腕時計に対する技術への情熱の融合により、スイス製に劣らない素晴らしい名作を生み出してきたクレドール。
伝統の上に、新たな技術を貪欲に吸収していく姿勢で、これからも進化し続けることでしょう。
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