自動巻き時計は腕に時計を着けている間は、特に意識せずにゼンマイが巻き上げれますが、時計を外しているとゼンマイがほどけていき、気付いたら止まっていたということもありますよね。
例えば平日の仕事では時計を着けているもののお休みの土日は着けないといった場合、その間に時計が止まってしまうということもよくあるかと思います。
ただ時計が止まる度に時刻を合わせるのは面倒ですよね。そんな時に便利なのが、腕時計を自動で巻き上げる装置である「ワインディングマシーン」です。
常にワインディングマシーンの中で時計が回転しているので、手軽に自動巻き時計のゼンマイを巻き上げることができます。
この記事では、ワインディングマシーンのメリット・デメリットやおすすめ機種を紹介します。
目次
ワインディングマシーンとは
自動巻き腕時計は着用時の手首の動作により、ローターが回転し、主ゼンマイを巻き上げる仕組みです。
しかし、動かさず、そのままにしておくといずれ止まってしまい、着用する時にリュウズで主ゼンマイを巻き上げ、さらには、時刻や日付表示も調整しなくてはならなく、非常に手間が掛かってしまいます。
ワインディングマシーン(ウォッチワインダー)は自動巻き腕時計を所定の位置にセットすることで、自動で回転やスイングを与え、主ゼンマイを常に巻かれている状態にし、着用する時にリュウズで巻き上げる手間を解消することができる機械です。
現在、複数の自動巻き腕時計を所有している愛好家、コレクターの間で普及しており、様々な種類やデザインが豊富に展開されています。
ワインディングマシーンのメリットとデメリット
メリット
着用する時に手動で巻き上げる必要がない
前述のようにワインディングマシーンを使用することによって、自動巻き腕時計を着用する時にリュウズで主ゼンマイの巻き上げや時刻・日付の調整を行う手間が省け、非常に便利です。
特に、年次カレンダーやパーペチュアルカレンダー、ムーンフェイズを搭載している自動巻き腕時計は時計が止まっていると調整にかなりの手間を有するため、ワインディングマシーンは必須と言っていいでしょう。
油の偏りを防止
機械式時計には部品を摩擦・摩耗から守り、動作をスムーズにするための時計専用の油(潤滑油)が使用されています。
時計を長く動かさず、そのまま放置してしまうと潤滑油が時計内部に固まり、故障の原因につながってしまいます。
ワインディングマシーンを使用し、時計を常時動かしている状態にすることで、潤滑油の固まりを防ぐことができます。
コレクションケースまたは、インテリアとしても使える
ワイディングマシーンは主ゼンマイを常に巻かれている状態にするだけではなく、時計を収納するコレクションケースとしての機能も兼ね備えています。
セットできる本数は一本のものから数十本セットできるものと幅広く、また、様々なデザインのものが展開されており、インテリアとしても優れています。
デメリット
時計内部の部品の消耗・劣化を早めてしまう
ワインディングマシーンは時計を常時動かしている状態にするため、主ゼンマイの過剰な巻き上げにより、内部の部品の消耗・劣化を早めてしまいます。
オーバーホールを行わず使用すると、内部劣化を進めてしまうおそれがある
機械式時計はメンテナンスのために三年に一度、オーバーホールをするのが望ましいとされています。
オーバーホールを行わず、油切れや部品の消耗・劣化をそのままにして、時計にワインディングマシーンを使用してしまうとさらに負荷が掛かってしまい、故障の原因につながってしまいます。
磁気帯びの危険性がある
ワインディングマシーンの中には磁気対策が施されていないものもあります。
磁気対策が施されていないワインディングマシーンを使用すると、ワインディングマシーンに搭載されているモーターの永久磁石により、セットした時計が磁気を帯びてしまうことがあります。
おすすめのワインディングマシーン
エスプリマ
丸型ワインディングマシーン ES10301BK
ワインディングマシーンの定番メーカーであり、国内トップクラスのシェアを誇る「エスプリマ」の一本用ワインディングマシーンです。
回転モードを4つのプログラムから選択することができ、シンプルで、高い耐久性を誇るベストセラーモデルです。
スタイリッシュでモダンなデザインであるため、インテリアとしても非常に優れています。
ローテンシュラガー(LUHW)木製4連ワインディングマシーン LU30004RW/D
エスプリマが展開するプレミアムライン「ローテンシュラガー(LUHW)」の4連ワインディングマシーンです。
スイスの時計職人であるローテンシュラガー氏が監修しており、4つのプログラムから選択可能な回転モードとワインダー機能以外に時計を5本収納できるスペースを備えています。
天然木合板を使用した高級感のあるモデルです。
アビエス
ワインディングマシーン 8本巻タイプ 縦型 ブラック×ブラック
同時に8本の時計を巻き上げることができるワインディングマシーンです。
3つの回転方向と5つの動作モードをそれぞれ選択することが可能で、セットする時計によって設定を変更することができます。
また、時計の交換をスムーズに行うことができるように開閉センサースイッチが搭載されており、蓋を開けると動作が一時停止するようになっています。
下部には時計を4本まで収納できるスペースを備え、ブラックの外装と内装はシックでインテリアとしても非常に優れています。
ベルナール・ファーブル
ダブル・アクシスプラネット・ウォッチワインダー
ワインディングマシーンは前述のように過剰な巻き上げにより、時計内部の部品の消耗・劣化を早め、ムーブメントを痛めてしまいます。
しかし、2011年にムーブメントをなるべく傷めないよう、過剰な巻き上げを防ぐ、画期的なワインディングマシーンが開発されました。
それが、ベルナール・ファーブルが開発した「ダブル・アクシスプラネット・ウォッチワインダー」です。
回転方向、回転数、稼働時間を9つのプログラムから選択可能で、従来のワインディングマシーンのように時計を一定方向に回転させるのではなく、2つの軸を利用した回転リングをスイングさせ、主ゼンマイを巻き上げるため、過剰な巻き上げによるムーブメントの消耗・劣化を軽減し、時計を最適な状態に巻き上げることができます。
スタンダードなプログラムであれば、一回の充電でおよそ三カ月間稼働し続け、また、本体にセットされているOリングにより、絶対的な静音性を実現しています。
プログラムは本体の底面にあるスイッチを専用工具で操作することによって、変更することができ、充電用のUSBケーブルと時計を埃から守るガラス製のドームが付属します。
本体と回転リング、外装レザーには多数のバリエーション、カラーリングが展開されており、ユニークな動作と相まって、インテリアとしても非常に優れ、部屋の景観に華やかさを与えてくれます。
デメリットを挙げるのであれば、その特殊な構造故、一般的なワインディングマシーンよりも値段が高額であることです。
まとめ
ワインディングマシーンは必ずしも自動巻き腕時計を所有している方に必須というわけではありません。
毎日同じ時計を着用したり、所有している本数が一本だけであったりするのであればあまり必要なく、ワインディングマシーンを使って巻き上げるよりも、着用する時にリュウズを操作して主ゼンマイを巻き上げた方が部品の消耗・劣化の促進を防ぐことができます。
しかし、前述のように巻き上げや調整をしなくて済むのは大変便利であり、愛用の時計が回転している様子は見栄えが良く、着用時以外で楽しむことができます。
ワインディングマシーンは自身の時計ライフを豊かにしてくれるアイテムです。メリット、デメリットを踏まえて、導入してみるのも面白いかもしれません。