腕時計の「並行差別」ブランド別の有無一覧!修理時の注意点とは?

同じ新品の腕時計でも、正規輸入品に比べて並行輸入品はブランドにもよりますが約半額の価格で購入できるものも存在します。

ブランドの時計を購入するとき、多くの人は正規輸入品の、並行輸入品を選ぶか迷うかもしれません。

並行輸入品は正規輸入品よりも安い価格で販売されることが多く、定価よりも安く買えるという利点があります。

ただし、並行輸入品を購入する前にはデメリットも考慮することが重要です。並行輸入品は購入時の価格は安いものの、オーバーホールや修理価格が正規輸入品と比べて高くなる「並行差別」があるからです。

この記事では、腕時計の並行差別とは何か、オーバーホールや修理費の違い、並行差別があるブランドとないブランドを紹介します。

MEMO

時計のオーバーホールとは、時計を「新品時の性能状態に戻す作業」を意味します。
時計内部のムーブメント(機械)を部品ごとに分解し、清掃、摩耗部品の交換、組み立て、注油、精密調整などの作業を行います。

並行輸入品と正規輸入品の違い

並行輸入品とは、正規代理店以外のルートから輸入された製品のことです。

メーカー直営店またはメーカーと契約を結んでいる正規代理店が販売する商品は、正規輸入品の製品であり、基本的にはメーカーが設定した定価で販売されます。

固定価格で販売されているため、並行輸入品に比べると確かに高くなりますが、メーカー保証の対象となる利点があります。

並行輸入品とは、海外直営店や正規販売店のベンダーが購入した商品です。

メーカーと直接契約を結んでいないため、自由に価格を設定できるため、正規輸入品と比べてかなり低価格で購入できることが多いです。

購入時の価格が非常に魅力的なのは並行輸入品であることは事実ですが、メーカーで修理ができない、修理価格が高くなるなどのサポート面で不利になる可能性があります。



腕時計の並行差別とは?

並行差別とは、メーカーが「正規輸入品」と「並行輸入品」を区別し、正規輸入品を優遇する対応のことです。

すべてのブランドが並行差別を行っているわけではありませんが、ゼニス、ブライトリング、タグ・ホイヤー、ウブロ、フランクミュラーなどの時計ブランドは、アフターサービスなどの点で並行差別があることで知られています。

メーカーとしては、正規店で通常価格で購入するユーザーを大切にしたいので、正規輸入品と並行輸入品の修理費に差額を設けるなどの対策を講じていますが、そうした正規輸入品と並行輸入品で対応を分けることを「並行差別」と呼んでいます。

腕時計の並行差別はオーバーホールと修理料金に違いがある

ブランド時計の並行差別の典型的な例は、メーカーで行うオーバーホールや修理などのメンテナンス料金の違いです。

ブランドにもよりますが正規輸入品であれば、並行輸入品に比べて約40〜50%安い価格でメンテナンスが受けられることがあります。

並行差別のあるブランドとないブランド

並行差別は一部の時計ブランドにはありますが、正規輸入品と並行輸入品を区別していないブランドも存在しています。

ここでは、並行差別の有無に応じて、いくつかの時計ブランドを紹介します。

並行差別のあるブランド

ブライトリング

ブライトリングは正規輸入品と並行輸入品でオーバーホールなどの維持費に大きな差があることで有名なブランドです。

正規代理店でブライトリングを購入した場合は「クラブブライトリング」という会員サービスに入会できますが、並行輸入品の場合はクラブブライトリングへ入会ができません。

そのためメーカーで時計をオーバーホールすると、並行輸入品は正規輸入品と比較して約2倍の費用がかかります。

ブライトリングの並行差別による維持費の差はかなり大きいですが、ブライトリング購入時の並行輸入品の割引率は平均40%程度で、正規輸入品より20万円から40万円程度安く購入できます。

ブライトリング 並行差別

ゼニス

ゼニスは、並行差別によるオーバーホールや修理などの維持費が異なることでも有名であり、並行輸入品は正規輸入品の約1.5倍のオーバーホール費用がかかります。

並行輸入品の割引率は平均40%程度で、モデルによっては購入時に正規輸入品と較べて40万円以上安い価格で購入できます。

メーカーのオーバーホールや修理が安いからといって、正規店で購入する必要があるとは限りません。

タグ・ホイヤー

タグ・ホイヤーも正規輸入品と並行輸入品を区別しており、正規輸入品であれば「エドワードクラブ」に入会することができます。

エドワードクラブに入会すると会員価格で修理やオーバーホールを受けることができます。

並行輸入品はエドワードクラブに入会することができないので、その分メンテナンス費用が高くついてしまいます。

タグ・ホイヤー 並行差別

フランク・ミュラー

フランク・ミュラーは並行差別をかなり厳しく行っており、並行輸入品のメンテナンスをメーカーで受け付けていません。

フランクミュラーの並行輸入品は正規輸入品と比較して50%ほど安く購入できます。並行輸入品であれば50万円以上安い価格で購入できることも珍しくありません。

メーカー以外の時計修理業者であれば、並行輸入品のフランク・ミュラーも修理・オーバーホールが可能です。

並行差別のないブランド



ロレックス

ロレックスは正規輸入品と並行輸入品を区別することはないので、正規輸入品か並行輸入品かにかかわらず同じ価格でのメンテナンスを受けることができます。

しかし、ロレックスは現在供給に追いつくことができず、通常の店で購入するのが難しいスポーツモデルを含むほとんどの時計の価格は急騰しています。

並行輸入品であっても定価を超える価格で販売されているため、並行輸入品を購入する利点はありません。

オメガ

スウォッチグループはオメガが所属する世界最大の時計製造グループですが、並行差別を行わないことで知られています。

オメガ、ブランパン、ブレゲ、ロンジン、ハミルトンなどのブランドがスウォッチグループに所属しています。

スウォッチグループのどのブランドも、正規輸入品か並行輸入品であるかに関係なく、同じ価格でメーカーのオーバーホールまたは修理することができます。

パネライ

パネライが所属する「リシュモングループ」も並行差別を行っていません。

リシュモングループに所属するブランドは、パネライ、IWC、ジャガー・ルクルト、ヴァシュロン・コンスタンタンなどです。

まとめ:並行輸入品は修理専門業者でオーバーホールがベスト

並行輸入品の魅力といえば、正規輸入品よりも安く購入できることです。

しかし、並行輸入品の時計本体の購入価格は安いものの、一部のブランドではメーカーでの修理・オーバーホール費用が高くなったり、修理・オーバーホール自体が受けられない「並行差別」が存在します。

その悩みを解決してくれるのが、修理専門業者です。修理専門業者であれば正規輸入品と並行輸入品を区別することなく、修理やオーバーホールを行ってくれます。

また、専門業者では修理・オーバーホールをメーカーよりも価格を安く設定しているため、腕時計の維持コストを削減できます。

時計修理専門業者にメンテナンスを依頼するときは、熟練した技術者または十分に保証された技術者がいる会社に依頼することが重要です。

下記でおすすめの修理専門業者を紹介しているので、あわせて参考にしてください。