なぜ世界三大時計と呼ばれているのか?3つのブランドの特徴を徹底解説

世界三大時計

この記事では、世界三大時計と呼ばれている「パテック・フィリップ」、「ヴァシュロン・コンスタンタン」、「オーデマ・ピゲ」の3ブランドについて紹介します。

そもそもなぜこのブランドが世界三大時計と呼ばれているか?から解説していきます。

世界三大時計とは

時計愛好家、高級時計に関心・興味がある人なら一度は聞いたことがある言葉「世界三大時計ブランド」。

それはパテック・フィリップ、ヴァシュロン・コンスタンタン、オーデマ・ピゲからなるスイスのマニュファクチュール・ブランドのことであり、他の追随を許さない高い技術力と品格、ステータス性からそう呼ばれています。

非常に高価で手が届かないことから「雲上時計」「雲上ブランド」とも呼ばれています。

また、これにスイスの高級時計メーカー「ブレゲ」、ドイツの高級時計メーカー「ランゲ&ゾーネ」を加えたものを「世界五大時計ブランド」と呼ばれています。

3ブランドが世界三大時計ブランドの理由



この3ブランドが世界三大時計ブランドと呼ばれている理由には、以下の共通点があります。

長い歴史を持ち、ブランドが途切れたことがない

この三大ブランドは創業から100年以上の歴史を持つ老舗ブランドであり、多数のブランドを消滅、休眠に追いやった世界恐慌やクオーツショックなどから生き延び、現在までブランドの歴史が途切れずに経営を続けています。

高い技術力を誇り、複雑機構を搭載した「高級時計」を製造している

三大ブランドに共通していえる特徴としては、ミニッツリピーター、クロノグラフ、パーペチュアルカレンダーなどの複雑機構を搭載した「高級時計」を製造していることです。

パテック・フィリップでは、1933年に製作した超複雑時計「グレーブス」、ヴァシュロン・コンスタンタンでは、1918年にジェームズ・ウォード・パッカードのために製作した複雑時計、オーデマ・ピゲでは、1882年に製作したグランド・コンプリケーションの懐中時計など、高い技術力を保有していないとできないようなコンプリケーション・ウォッチを製作しています。

現代の腕時計の礎を築き、様々な発明や偉業を成し遂げた高級時計の代表格であるロレックスが「世界三大時計」に入らないのは、複雑機構などを搭載した「高級時計」ではなく、あくまで、日常で使用できる「実用時計」を製造しているからです。

「世界三大時計ブランド」は時計愛好家たちの永遠の憧れであり、世界中のセレブリティから注目されています。

今回は世界三大時計ブランド「パテック・フィリップ」、「ヴァシュロン・コンスタンタン」、「オーデマ・ピゲ」の歴史について紹介していきます。

パテック・フィリップ

1839年、スイス・ジュネーブに創業。ジュネーブで最古の家族経営のマニュファクチュール・ブランドであり、技術力、品格、ステータス性どれをとっても世界最高峰の高級時計ブランドです。

創業当初からその高い技術力と芸術性で王侯貴族や富裕層を虜にし、ヴィクトリア女王や昭和天皇、アインシュタインやウォルト・ディズニーなどの歴史的著名人がパテック・フィリップの顧客に名を連ねており、現代においても世界中の富裕層、愛好家、コレクターから人気を集め、過去に製作したユニークピースや希少モデルは、オークションハウスで数百~数千万ドルという高額で落札され、世間を驚かせています。

技術力と芸術性だけではなく、パテック・フィリップの時計はCOSCやジュネーブ・シールの基準をはるかに上回る厳格な独自の品質規格「パテック・フィリップ シール」を設立するなど、非常に高い品質を誇ります。

また、100年以上経過した自社の時計でも修理を拒まず、製造当時に限りなく近い完璧な状態で修復する「永久修理」を掲げ、世代を超えて受け継ぐことが可能となっています。

ロゴマークである「カラトラバ十字」は12世紀にスペインで設立された「カラトラバ騎士団」の紋章で、完璧な均衡を持つ美しさと当時の騎士の切り離せない資質である「勇気」「礼節」「独立」を象徴し、数世紀にわたって優れた時計を作るパテック・フィリップに相応しいシンボルとなっています。

パテック・フィリップは「独立」「伝統」「革新」「品質と精緻な仕上がり」「希少性」「付加価値」「美」「サービス」「思い入れ」「継承」からなる「10の価値」を大切にしており、創業から今日まで一貫して守り続けられ、世界最高峰のマニュファクチュール・ブランドの地位を築き上げていきました。

創業者 アントワーヌ・ド・ノルベール・パテック、フランソワ・チャペック
創業年 1839年
創業地 スイス/ジュネーブ

年表

1839年

アントワーヌ・ド・ノルベール・パテックとフランソワ・チャペックはジュネーブにマニュファクチュール・ブランド「パテック・チャペック社」を設立。

1844年

パテックはパリの産業博覧会で革新的な鍵なしリュウズ巻き上げ・時刻合わせ機構の発明者ジャン・アドリアン・フィリップと出会う。

1845年

チャペックが退社。フィリップが正式に入社し「パテック社」が設立。同年、リュウズによる巻き上げ・時刻合わせ機構を備えた時計の技術特許を取得。

1851年

フィリップを共同経営者として迎え入れ、社名を「パテック・フィリップ社」に変更。同年、世界初の国際博覧会であるロンドン万国博覧会に自社の時計を出品。金賞が授与されました。

さらに、英国女王のヴィクトリア女王は蓋が青七宝とダイヤモンドで装飾されたイエローゴールドの鍵巻上げ・時刻合わせ式懐中時計を購入。夫君アルベール公はリュウズ巻上げ式クォーターリピーター搭載ポケット・クロノメーターを購入しました。

これはパテック・フィリップの時計が王侯貴族に愛用された最初の2個となりました。

同年、アメリカの宝飾ブランド「ティファニー」とパートナーシップを結び、ティファニーはパテック・フィリップとのダブルネームを許された唯一の宝飾ブランドとなります。

1868年

ハンガリーのコスコヴィッチ伯爵夫人のために、バゲット型ムーブメントを収めた小型のレクタンギュラー型ケースに、ゴールドの細いバングル装着したスイス初の腕時計を製作。

1910年

メキシコの貴族「レグラ公」にウエストミンスター(イギリスの国会議事堂)の鐘のメロディー5 つのゴングで再現したミニッツリピーター、15分ごとにグランソヌリ、プチソヌリを搭載し、蓋に紋章を描いた懐中時計「レグラ公」を製作。

1916年

パテック・フィリップ初の5分リピーターを搭載した婦人用腕時計を製作。パテック・フィリップの複雑機構を搭載した最初の婦人用腕時計となりました。

1924年

自動車技師ラルフ・ティートゥーのためにパテック・フィリップ初のミニッツリピーター搭載腕時計を製作。

1925年

パテック・フィリップ初のパーペチュアルカレンダー搭載腕時計を発表。

1927年

かつてアメリカにあった自動車メーカー「パッカード」の創業者ジェームズ・ウォード・パッカードに10種類の複雑機構を搭載した両面文字盤の天文表示付き懐中時計「パッカード」を納入。

現在ではパテック・フィリップ・ミュージアムに展示されています。

1932年

1929年に起きた、世界恐慌により経営が悪化。パテック・フィリップは文字盤製造会社を経営していたシャルル・スターンとジャン・スターン兄弟に買収され、以降、パテック・フィリップはスターン家により経営されます。

同年、カラトラバ・コレクション最初のモデル「カラトラバ96(通称:クンロク)」が発表されます。

1933年

ニューヨークの銀行家ヘンリー・グレーブス・ジュニアがティファニーを通じてパテック・フィリップに「世界一複雑な時計」の製作を依頼。

8年の歳月をかけ、4ゴングのグランソヌリ、第5ゴングによるアラーム、スプリットセコンド・クロノグラフ、パーペチュアルカレンダー、恒星時、均時差、ニューヨークの日昇・日没時刻、さらにヘンリー・グレーブス・ジュニアの自宅から見える夜空を再現した星座表など、合計24種類の複雑機構を搭載し、900個以上の部品からなる両面文字盤の超複雑懐中時計「グレーブス」を製作。

当時では「世界で最も複雑な、携帯できる時計」であり、2014年11月にジュネーブで行われたサザビーズ・オークションでは2,393万4000ドル(約24億円)で落札されました。

1944年

ジュネーブ天文台計時精度コンクールにおいて第1位を受賞。

1949年

テン輪に配置したアルファベットの「C」型の錘を調節して慣性モーメントを変え、緩急調整行うことができる「ジャイロマックス・テンプ」の技術特許を取得。

1956年

全エレクトロニクス・クロックを製作。

1958年

シャルル・スターンの息子であるアンリ・スターンが社長に就任。

1962年

パテック・フィリップのトゥールビヨン・ムーブメントがジュネーブ天文台計時精度コンクールにおいて史上最高得点で優勝。

1968年

ゴールデン・エリプス・コレクション最初のモデル「3548」を発表。

1976年

ノーチラス・コレクションの最初のモデル「3700/1」を発表。

1977年

ムーブメントに統合された偏心マイクロ・ローターと効率を高めた単方向巻上げ機構を備えた、厚さ2.4mmの超薄型自動巻きムーブメント「Cal.240」を開発。

1989年

パテック・フィリップは創業150年を記念し、9年の歳月をかけ、両面文字盤の超複雑時計「キャリバー89」を製作。

部品総数は1,728個におよび、西暦年窓表示を含むパーペチュアルカレンダー、ムーンフェイズ、月齢表示、スプリットセコンド・クロノグラフ、ジャンピングアワーによる第2タイム・ゾーン時刻表示、恒星時、均時差、日昇・日没時刻、季節、分点、至点、黄道十二宮、回転式星座表、4ゴングによるグランソヌリ、プチソヌリ、ミニッツリピーター、第5ゴングによるアラーム、さらに特許取得のイースターの日付表示機構、二十八世紀まで正確な日付を表示することができる世紀パーペチュアルカレンダーなど、合計33種類の複雑機構を搭載しています。

キャリバー89は4個のみが限定製作され、この他イエローゴールド製の試作モデルがパテック・フィリップ・ミュージアムに展示されています。

1993年

アンリ・スターンの息子であるフィリップ・スターンが跡を継ぎ、社長に就任。同年、ゴンドーロ・コレクションを発表。

1996年

月末が30日か31日かを自動的に判別して次の日付を表示し、2月の末日(28日か29日)のみの日付修正で済む日付表示機構「年次カレンダー」を開発・特許を取得。

1997年

アクアノート・コレクションを発表。

1999年

Twenty~4・コレクションを発表。

2000年

ミレニアムを記念して両面文字盤の超複雑懐中時計「スターキャリバー2000」を製作。

部品点数は1,118個におよび5つのゴングによるウエストミンスターの鐘のメロディーを忠実に再現したミニッツリピーターとグランドソヌリ、パーペチュアルカレンダー、均時差、日昇・日没時刻、太陽のマークの24時間表示、ある地点から見える天空部分を示す楕円が入ったシリウス星の子午線通過時刻を示す星座表(星の動き、軌道ムーンフェイズ機能)など合計21種類の複雑機構を搭載。

イエローゴールド、ローズゴールド、ホワイトゴールド、プラチナ仕様からなる4セット、彫金を施したプラチナ仕様からなる1セットの合計20個が限定製作されました。

2001年

パテック・フィリップ初の両面に文字盤を備えた複雑時計「スカイムーン・トゥールビヨン5002」発表。

さらに、ティファニーとのパートナーシップ150周年記念して限定モデル「T150ティファニー5150」を発表。

同年、パテック・フィリップ・ミュージアムを開館。

2009年

時計業界で最も厳格とされるパテック・フィリップ独自の品質規格「パテック・フィリップ・シール」を創設。

同年、フィリップ・スターンの息子ティエリー・スターンが社長に、フィリップ・スターンは名誉会長に就任。

2011年

シリコン・ベースの素材によるSpiromaxヒゲゼンマイ、Pulsomax脱進機、GyromaxSiテンプを統合した調速機構「Oscillomax」を開発・特許を取得。

2013年

「スカイムーン・トゥールビヨン6002」を発表。

2014年

パテック・フィリップ創業175年周年を記念し、「グランドマスター・チャイム5175」を発表。

代表モデル

ノーチラス 5711 1A-001

パテック・フィリップのスポーツウォッチであり、同社のアイコンモデル。デザインはオーデマ・ピゲ「ロイヤルオーク」などを手掛けたジェラルド・ジェンタ氏が担当しました。船の舷窓から着想を得た八角形のステンレスケースに通称「耳」と呼ばれるケースサイドの突起、水平エンボス文字盤が特徴です。「カジュアル・エレガンス」を体現しており、シーンを問わず、あらゆる場面で着用しやすいことから世界的に人気のモデルとなり、現在ではロレックスのスポーツモデルやオーデマ・ピゲ「ロイヤルオーク」と同様、正規店での購入は非常に困難であり、二次市場では定価の6倍以上で取引されます。

カラトラバ 6119R-001

PATEK PHILIPPE パテックフィリップ カラトラバ クルー・ド・パリ 6119R-001 [新品]

パテック・フィリップを代表するドレスウォッチ。その名の通りパテック・フィリップのシンボルである「カラトラバ十字」を体現したモデルであり、18Kローズゴールドに無駄のないクラシカルで優雅なデザインと高級感のあるクル・ド・パリベゼルに立体的なインデックスを備え、時計全体に高い品格を漂わせています。

アクアノート 5167A-001

1997年に発表されたスポーツモデル。ノーチラスから着想を得た八角形のケースに、防水性、牽引耐性、紫外線耐性に優れたハイテク・コンポジット素材の「トロピカル・バンド」を備え、スポーティーに仕上がったモデルとなっています。

コンプリケーション 5905R-001

パテック・フィリップが開発した「年次カレンダー」とクロノグラフを搭載したコンプリケーション・ウォッチです。

ケースはプラチナ製で高級感のあるブルーソレイユ文字盤には年次カレンダーとクロノグラフが美しく配置され、パテック・フィリップらしいエレガントなデザインとなっています。

グランドコンプリケーション スカイムーン・トゥールビヨン 6002

複数の複雑機構を搭載したパテック・フィリップのダブルフェイスのグランド・コンプリケーションウォッチです。

ミニッツリピーター、トゥールビヨンを搭載し、前面はクロワゾネ七宝とシャンルヴェ七宝で仕上げられた文字盤にレトログラード日付表示付きパーペチュアルカレンダーとムーンフェイズを配置し、裏面には恒星時と星座表と軌道ムーンフェイズを配置。

18Kホワイトゴールドのケースには花飾り、渦巻き、カラトラバ十字のモチーフの彫金が全面に施され、パテック・フィリップの長きにわたる伝統と本質を集約した至高のグランド・コンプリケーションとなっています。

ヴァシュロン・コンスタンタン



1755年、スイス・ジュネーブに創業。創業から265年以上、一度もブランドが途切れたことがない世界最古のマニュファクチュールブランドです。

パテック・フィリップやオーデマ・ピゲ同様、熟練した職人による卓越した技術力を誇り、エジプト国王ファード1世やファルーク、アメリカの自動車メーカー「ジェームズ・ウォード・パッカード」にリピーターやクロノグラフ、パーペチュアルカレンダーなどの複雑機構を複数搭載した時計を製作しています。

また、品質も高く、世界最高の認定規格と言われる「ジュネーブ・シール」を取得し続けています。

ヴァシュロン・コンスタンの時計は芸術性も高く、エングレービングやギョーシェ装飾、ジェムセッティング、エナメル細工といった伝統的な装飾が施されていることもあり、また、ロゴマークである「マルタ十字」をリューズやトゥールビヨンのキャレッジなどに施しています。

時計の香箱カバーに取り付けられた部品のデザインがカトリック修道会のマルタ騎士団が掲げていた「マルタ十字」に似ていたため、精密時計を製造するのヴァシュロン・コンスタンタンのシンボルマークとして採用されました。

また、時計メーカーでは非常に珍しく、「レ・キャビノティエ」というオーダーメイドの時計を製作する部門が存在し、顧客が要望する世界に一つだけのユニークピースを注文することができるのも特徴です。

創業者 ジャン=マルク・ヴァシュロン、フランソワ・コンスタンタン
創業年 1755年
創業地 スイス/ジュネーブ

年表

1755年

ジュネーブの24歳の時計師、ジャン=マルク・ヴァシュロンが時計工房を設立。彼の初めての見習い時計師、イザヤ・ジャン・フランソワ・エティエを雇い、雇用契約書に署名をしました。

この雇用契約書は現在、ヴァシュロン・コンスタンタンの歴史において知られる最も古い文書であり、260年以上途切れずに続いている世界最古のマニュファクチュール・ブランドであることを証明しています。

1785年

ジャン=マルク・ヴァシュロンの息子であるアブラアン・ヴァシュロンが家業を継承。1780年代の終わりに初のレピーヌ・タイプの時計を製造。

1810年

ジャン=マルク・ヴァシュロンの孫であるジャック・バルテルミー・ヴァシュロンが家業を継承。音楽を奏でるミュージカルウォッチなど複雑時計の製造を開始。さらに、自社の時計をフランス、イタリアに輸出するようになります。

1819年

ジャック・バルテルミー・ヴァシュロンは時計商人、フランソワ・コンスタンタンと出会い、共同経営者として迎え入れ、時計会社「ヴァシュロン・コンスタンタン」が誕生。輸出範囲を北米、ブラジル、ロシアまで拡大します。

また、フランソワはジャックに手紙で「できる限り最善を尽くす、そう試みる事は少なくとも可能である。」と伝えました。これは、今日まで、同社のモットーとなっています。

1839年

発明家ジョルジュ=オーギュスト・レショーが技術責任者として雇われ、経営に参加。同一性を確保したまま、時計部品を複写し製造できる工作機械「パンタグラフ」を開発し、時計製造業界に大きな影響を与えました。

1843年

工房をジュネーブの中心にある「トゥール・ド・リル」に移転。

1844年

ジャック・バルテルミー・ヴァシュロンの息子であるシャルル・セザール・ヴァシュロンが経営を引き継ぎ、中国、インド、スペイン、キューバなどの新しい市場に進出し営業活動を拡大。

1875年

工房の敷地が手狭となり、ジュネーブ市内にあるローヌ川の中州に位置する「ケ・ド・リル」に新本社を建造し、移転。

1880年

「マルタ十字」のロゴを商標登録。

1906年

「ケ・ド・リル」の本社1階に、同社初のブティックをオープン。

1918年

かつてアメリカにあった自動車メーカー「パッカード」の創業者ジェームズ・ウォード・パッカードの依頼で、クロノグラフとグランソヌリ、プチソヌリ付きクォーター/ハーフクォーター・リピーターを搭載した複雑時計を製作。

1921年

「狂乱の20年代」と呼ばれていた米国市場向けに「アメリカン1921」が発売されました。

1929年

エジプト国王ファード1世にヴァシュロン・コンスタンタン製のミニッツリピーター、グランソヌリ、プチソヌリ、スプリットセコンドクロノグラフ、パーペチュアルカレンダー、ムーンフェイズを搭載したグランド・コンプリケーションウォッチを贈呈。

1949年

エジプトのファルーク国王にヴァシュロン・コンスタンタン製のミニッツリピーター、グランソヌリ、プチソヌリ、スプリットセコンドクロノグラフ、パーペチュアルカレンダー、ムーンフェイズ、アラーム、パワーリザーブ表示を搭載したグランド・コンプリケーションウォッチを贈呈。

1977年

創業222周年を記念して同社初のスポーツウォッチ「Ref.222」を発表。

1996年

「オーヴァーシーズ」を発表。同年、リシュモン・グループの傘下に入りました。

1998年

ジュウ渓谷に複雑時計の製造から組み立て、自社ムーブメントの開発製造などを行う「アトリエ・ヴァシュロン・コンスタンタン・ヴァレ・ド・ジュウ」を設立。

2000年

「マルタ」を発表。

2004年

「パトリモニー」を発表。同年、ジュネーブ・プラン・レ・ワットに本社を移転。

2005年

創業250周年を記念し、トゥールビヨン、パーペチュアルカレンダー、ミニッツリピーター、天文機構などを備えた超複雑時計「トゥール・ド・リル」を発表。

2005年当時、世界で最も複雑な腕時計であり、2005年のGPHG(ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ)おいて大賞「金の針賞」を受賞しました。

2006年

オーダーメイドで時計の製作を行うサービス「アトリエ・キャビノティエ」を開始。

2015年

ヴァシュロン・コンスタンタンは創業260周年を迎えます。2006年、とある顧客から「アトリエ・キャビノティエ」に「今世紀中、最も複雑な時計を作って欲しい。」という注文が来ました。

さらに、その顧客の希望は「最低36個の複雑機構を入れて欲しい」「今までにない時計の機構。ユダヤ暦永久カレンダーを組み込んで欲しい」というもので、ヴァシュロン・コンスタンタンの3人の時計師と技術者は熟考した結果、「できる」と判断。

8年の歳月をかけ、史上最も複雑な時計「リファレンス57360」(Cal.3750)を製造しました。最終的に複雑機構の数は57個になり、部品点数は2826個に上りました。

2018年

「フィフティー・シックス」を発表。

代表モデル

オーヴァーシーズ・クロノグラフ

1977年に発表された「Ref.222」を現代風にアレンジしたヴァシュロンコンスタンタンのラグジュアリー・スポーツモデル「オーヴァーシーズ」のクロノグラフ搭載モデルです。

ベゼルやブレスレットにはヴァシュロンコンスタンタンのシンボルである「マルタ十字」をモチーフにした意匠が凝らされています。

また、ストラップ、ブレスレットの交換を簡単に行える「インターチェンジャブル・システム」を搭載しています。

パトリモニー・オートマティック

1950年代に製作した時計から着想を得た、ヴァシュロン・コンスタンタンのドレスウォッチです。細身で、エレガントに仕上がっており、無駄のないシンプルなデザインが特徴です。

フィフティー・シックス

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ヴァシュロン・コンスタンタンが1956年に製造した時計「Ref.6073」から着想を得たモデル。名前は「Ref.6073」の誕生年の”56”に由来しています。

ドレスウォッチのフォーマルさとスポーツウォッチのカジュアルさを兼ね備え、シーンを問わずに着用できる時計として人気です。

マルタ・トゥールビヨン

ヴァシュロン・コンスタンタンのシンボルマークの名前を冠した「マルタ」コレクションのトゥールビヨン搭載モデルです。

曲線を描く、力強いトノー型ケースと優美で洗練されたデザイン、そして「マルタ十字」のモチーフを施したキャリッジのトゥールビヨンを備えたコンプリケーションウォッチです。

ヒストリーク・アメリカン1921

ヴァシュロン・コンスタンタンの歴史的な名作を現代風にアレンジし復刻させた「ヒストリーク」コレクションの一つ。

1921年にアメリカ市場向けに販売された「アメリカン 1921」の復刻モデルです。「狂乱の20年代」と呼ばれた1920年代のアメリカ文化から着想を得ており、自動車を運転してハンドルを握ったままの状態でも、時刻を読み取りやすくするために、文字盤が傾いているのが特徴です。

オーデマ・ピゲ

1875年、スイス・ジュウ渓谷、ル・ブラッシュに創業。創業から現在にいたるまで、一度も途切れることなく、創業者一族による家族経営を続けており、現代の高級時計のスタイルを確立したマニュファクチュール・ブランドです。

卓越した技術力を誇り、創業当初からミニッツリピーター、パーペチュアルカレンダーなどの複雑機構を搭載した時計を得意とし、1882年にはグランドコンプリケーションの懐中時計を開発。

1899年には時計師ルイ=エリゼ・ピゲとオーデマ・ピゲが共同で超複雑時計「ユニヴェルセル」を開発。

その後、時計史上初となるミニッツリピーター搭載腕時計や自動巻きトゥールビヨン搭載腕時計、閏年表示付きパーペチュアルカレンダー搭載腕時計など、現代の複雑時計の先駆的モデルを発表しました。

小型・薄型時計の製造も得意としており、1921年には当時、世界最薄の厚さ1.32mmの懐中時計、世界最小の直径15.80mmのファイブ・ミニッツリピーター付き懐中時計を開発。

1967年には厚さの2.45mmの当時、世界最薄の自動巻きムーブメント「Cal.2120」を発表、1978年には当時、世界最薄の自動巻きパーペチュアルカレンダー搭載腕時計を発表しており、前述の世界初の自動巻きトゥールビヨン搭載腕時計は厚さがわずか5.7mm、搭載されているトゥールビヨン機構は直径7.2mmであり、現在でも世界最小を保持しています。

また、オーデマ・ピゲに「モデル」という概念が導入されたのは1951年以降であり、それまではすべて、一点もののユニークピースでした。

特筆すべきは1972年に発表された「ロイヤルオーク」です。

高級時計といえばゴールドケースというのが常識である時代で、世界で初めて高級時計にステンレススティールを採用しました。

その型破りなデザインは時計業界に革命を起こし、現在、主流の「ラグジュアリー・スポーツウォッチ(通称:ラグスポ)」の先駆けとなり、オーデマ・ピゲのベストセラーモデルとなりました。

以降、ロイヤルオークをベースにクロノグラフ、トゥールビヨン、ミニッツリピーターなどの複雑機構を搭載したモデルや、「オフショア」や「コンセプト」などの派生コレクションが発表。

現在では同社の屋台骨を支えるアイコンモデルとなっています。

オーデマ・ピゲは他社とパートナーシップを結び、コラボレーションモデルを発表することも多く、過去には映画「ターミネーター3」やイタリアの高級車メーカー「マセラティ」とのコラボレーションモデルを発表し、近年では「アベンジャーズ」で有名な「マーベル・エンターテインメント」とパートナーシップを結び「ロイヤルオーク・コンセプト“ブラックパンサー”フライング・トゥールビヨン」を発表しています。

また、アンバサダーの認定を各国の代理人、現地法人に任せているため、日本ではK-1 WOLRD MAX 世界王者である魔裟斗氏やアメリカでは元プロバスケットボール選手のシャキール・オニール氏、ドイツでは元レーシングドライバーのミハイル・シューマッハ氏など各国のローカルスターとのコラボレーションモデルも多いです。

創業者 ジュール=ルイ・オーデマ、エドワール=オーギュスト・ピゲ
創業年 1875年
創業地 スイス/ル・ブラッシュ

年表

1875年

ジュール=ルイ・オーデマがスイス・ジュウ渓谷、ル・ブラッシュに時計工房を設立。

1881年

ジュール=ルイ・オーデマは親交のあったエドワール=オーギュスト・ピゲと共に「Audemars Piquet & Cie」を創業。

ジュール=ルイ・オーデマが時計の制作を、エドワール=オーギュスト・ピゲがマーケティング、経営を担当しました。

1882年

スプリットセコンドクロノグラフ、パーペチュアルカレンダー、ミニッツリピーターを搭載したグランドコンプリケーションの懐中時計を開発。

1889年

パリ万国博覧会にて懐中時計「グランドコンプリケーション」を出品。

1899年

時計師ルイ=エリゼ・ピゲとオーデマ・ピゲが共同でパーペチュアルカレンダー、ミニッツリピーター、グランソヌリ、プチソヌリ、アラーム、スプリットセコンドクロノグラフ、リセット機能付き5分の1フドロワイヤント、デッドビートセコンドを備えた超複雑時計「ユニヴェルセル」を開発。

開発の依頼者はユニオン・グラスヒュッテであり、ユニオン・グラスヒュッテの名前で販売されました。

ロンドン在住のヴィンテージ・オーデマ・ピゲのコレクター、マーカス・マーギュリーズ氏が所有していましたが、2016年にオーデマ・ピゲが購入し、現在ではオーデマ・ピゲミュージアム「ミュゼアトリエ・オーデマ・ピゲ」に展示されています。

1892年

世界初のミニッツリピーター搭載腕時計を発表。

1921年

世界最小のファイブ・ミニッツリピーター搭載懐中時計を発表。

1936年

オープンワーククリスタルケース(スケルトン)の懐中時計を発表。

1955年

世界初の閏年表示付きパーペチュアルカレンダー搭載腕時計を発表。

1972年

世界初のステンレススティールを採用した高級時計「ロイヤルオーク」を発表。

1986年

世界初の自動巻きトゥールビヨン搭載腕時計を発表。

1992年

複雑ムーブメントメーカー「ルノー・エ・パピ」の経営権を取得。ルノー・エ・パピは社名を「オーデマ・ピゲ ルノー・エ・パピ」に変更。

1993年

「ロイヤルオーク・オフショア」を発表。

1995年

「ミレネリー」を発表。

2002年

「ロイヤルオーク」の誕生30周年記念モデルとして「ロイヤルオーク コンセプト」を発表。

2006年

デテント脱進機をベースにエネルギー効率と信頼性を向上させ、潤滑油を必要としない脱進機「オーデマ・ピゲ脱進機」を開発。

2016年

2つのテンプとひげゼンマイを同軸上に配置し、共振させることで精度と安定性を向上させた機構「デュアルバランス」を開発・特許を取得。

2019年

「CODE 11.59バイ・オーデマ・ピゲ」を発表。

代表的なモデル

ロイヤルオーク・オートマティック Ref. 15500ST

パテック・フィリップ「ノーチラス」などを手掛けた名匠ジェラルド・ジェンタ氏がデザインした「ロイヤルオーク」の現行モデル、ラグジュアリー・スポーツウォッチのパイオニアです。

文字盤には「グランド・タペストリー」のギョーシェ装飾が施され、ケースとブレスレットはサテン仕上げとポリッシュ仕上げの組み合わせとなっており、ステンレススティールでありながら宝石のように光り輝くようになっています。

現在、ロイヤルオークはロレックスのスポーツモデルと同様、世界的な人気モデルで、正規店での購入は非常に困難であり、二次市場では定価の2~4倍で取引されています。

ロイヤルオーク・グランドコンプリカシオン・オープンワーク

ロイヤルオークのグランド・コンプリケーションモデルです。

ケースはチタン、ベゼルはステンレススティールを採用しています。

ミニッツリピーター、パーペチュアルカレンダー、スプリットセコンドクロノグラフ、ムーンフェイズを搭載しており、複雑機構とオープンワーク・ウォッチを得意とするオーデマ・ピゲの歴史を体現したモデルです。

ロイヤルオーク・オフショア Ref. 26420RO.OO.A002CA.01

若年層向けにデザインされたロイヤルオークの派生モデルです。

デザインはロレックス「チェリーニ」などを手掛けたエマニュエル・ギュエ氏。

ケースには18Kローズゴールド、ベゼルにはブラックセラミック、文字盤には「グランド・タペストリー」よりも格子模様が大きい「メガ・タペストリー」を採用しています。

また、ラバーストラップは交換可能となっており、ロイヤルオーク・オフショア専用のラバーストラップが多数展開されています。

通常のロイヤルオークよりもスポーティーで力強いファッショナブルなデザインとなっています。

ミレネリー 4101

楕円型ケースが特徴的なオーデマ・ピゲのドレスウォッチ「ミレネリー」コレクションの2011年発表モデルです。

3時位置には文字盤を、9時位置にはオーデマ・ピゲが開発した新型エスケープメント「オーデマ・ピゲ脱進機」を配置したアシンメトリーなデザインとなっており、搭載されているミレネリー専用ムーブメント「Cal.4101」は当時、オーデマ・ピゲでムーブメントの設計課長を務めていた日本人の浜口尚大氏が開発しました。

CODE11.59 バイ オーデマ・ピゲ クロノグラフ

2019年に発表されたオーデマ・ピゲの新コレクション「CODE11.59 バイ オーデマ・ピゲ」のクロノグラフ搭載モデルです。

モデル名の「CODE11.59」とは、コンセプトである「Challenge(挑戦)のC」「Own(継承)のO」「Dare(追及心)のD」「Evolve(進化)のE」からとられており、「11.59」は「新しい日付が変わる直前である23:59」を表しています。

18Kホワイトゴールドのサテン仕上げとポリッシュ仕上げを組み合わせた八角形のミドルケースと細い円形ベゼル、独特な形状のラグを備え、文字盤はサンバースト模様のスモークブルーラッカー仕上げとなっており、今までのオーデマ・ピゲにはない独創的なモデルとなっています。